研究内容と実験手法
 

本研究室では生殖や摂食など本能的機能の脳内制御メカニズムを中心に研究しています。

1)生殖や摂食機能制御の脳内メカニズムを生理学的、組織学的、分子生物学的に調べています。


   生物の本質である本能 (摂食、睡眠、生殖) は、それぞれが密接にリンクして制御されています。例えば、過度なダイエットは性腺機能を抑制します。また、満腹になると眠くなります。本研究室では特にほ乳類の摂食と生殖に焦点を当て、その複雑な制御メカニズムの一端を解明したいと考えています。現在は、“下垂体のゴナドトロフ (性腺刺激ホルモン産生細胞) はエネルギーセンサー細胞の一つだ!”と仮説提唱して研究を行っています。










          ゴナドトロフには長鎖脂肪酸受容体GPR120が局在する。      

 


2)脳内のストレス感受性メカニズムを、生理学的、組織学的、行動学的に調べています。


   同じストレスを受けても個体によりその感受性は違います。例えば、Aくんが耐えられるストレスでも、Bくんが耐えられるとは限りません。本研究では、泌乳期のメスでストレス応答性が鈍くなることに着目して研究を行っています。



3)テストステロンのフィードバックメカニズムについて生理学的、組織学的、行動学的、分子生物学的に調べています。


   性ステロイドホルモンのフィードバックメカニズムの詳細は未だ解明されていません。ここでは、アンドロジェン受容体に着目して研究を行っています。



4)精子の運動性に関する研究


  卵を求めて移動運動をすることは精子の使命です。本研究室では長鎖脂肪酸を介した精子尾部の運動性調節メカニズの研究を行っています。




共同研究

[1-1.低栄養による脳内の性腺機能制御メカニズムについて]

・名古屋大学大学院生命農学研究科生命技術科学専攻動物生殖科学研究室


[1-2.低栄養時の下垂体における性腺刺激ホルモン遺伝子発現制御メカニズムについて]

・明治大学農学部生命科学科遺伝情報制御学研究室


[1-3.ウシ下垂体における低栄養時の性腺機能制御メカニズムについて]

・農研機構 畜産研

・岡山理科大学獣医学部獣医動物衛生学講座

・名古屋大学大学院生命農学研究科動物科学専攻動物生産科学研究室


[3.Kisspeptinニューロンを介したテストステロンのフィードバックメカニズムについて]

Departiment of Obstetrics & Gynecology, University of Washington, Robert A. Steiner Lab.


[4.精子の運動性に関する研究]

・埼玉医科大学薬理学研究室



実験手法

細胞培養、遺伝子発現解析、遺伝子改変マウスの使用、細胞やマウス個体への遺伝子導入、蛋白質発現および機能解析、血液サンプリング、血中ホルモン濃度測定、脳手術、行動観察、エピジェネティック解析など

 

                  近畿大学 理工学部 生命科学科 環境生理学研究室, 森山隆太郎

Laboratory of Environmental Physiology, Department of Life Science, Kinki University