カリキュラム

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カリキュラムの特色

生命科学科では、英語・バイオサイエンス・食品・医療・環境の学習に重点を置いています。 開講科目には、解剖生理学・神経科学・薬理学・病理学・公衆衛生学・医学概論などの基礎医学科目も含まれており、人間を中心にした生命科学の講義・実習が本学科の教育を特徴づけます。また、バイオ技術者資格試験対策など各種資格取得へのサポート体制も整っており、単位取得で「食品衛生管理者」の資格が得られることも特徴です。卒業生は、生命科学科で得た知識を基に、教員、製薬、医療、材料、製造業、卸売、小売業などへの就職、あるいは理工学部、医学部、薬学部系への大学院へ進学しています。これらの体制の下、学科発足以来、高い就職率を維持しています

共通基礎科目

この科目の多彩さは総合大学の特色です。生命科学・自然環境論などの理系科目だけでなく、芸術学・経営学・経済学・国際経済論などの文科系科目も充実しています。

外国語科目

国際的感覚を養うためにTOIECテストを組み入れた英語教育に多くの時間を割き、専門科目の「生命科学英語」につなぎます。ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語も選択できます。

基礎科目

数学・情報処理(コンピューター)・物理・化学・生物を中心に学びます。

専門科目

分子生物学・ゲノム解析・バイオ技術などのバイオサイエンス科目が最も充実していますが、医学概論・薬理学・病理学・公衆衛生学などの医療系科目も豊富です。食品衛生学・食品化学・栄養学という食品衛生関連科目も選べ、これら関連科目を合わせて所定の単位を取得するだけで、食品衛生管理者および食品衛生監視員の資格が得られます。また、環境科学・環境解析学・環境計測技術演習という環境に力点をおいた科目も揃っています。

実習

講義や演習で得た知識を確実にするために実習に力を入れています。内容は、動物学・植物学・解剖学・組織学・分子生物学・遺伝子工学・人体機能・細胞培養・放射線生物学・免疫学・微生物学・機器分析化学・バイオインフォマティックスです。

必修科目

1年次

生命科学序論

生命科学の分野では個体から分子レベルまで様々な研究や解析が日々めざましく進んでおり、生命諸現象が次々と解明されています。これらの最先端の知見に基づいて生命の実体を正確に認識するには、生命を構成するさまざまな要素の形態、構造、機能など基本的な特性を正しく把握していることが大前提です。基本原理を理解するために必要な生命科学の基礎と概念を学び、先端技術が現在の私たちの社会や健康、医療の分野にもたらすさまざまな利点と問題点を多面的に考察するための基礎力を養う科目です。

化学実験

化学は物質の構造、その物理的、化学的性質について研究する学問分野である。現在、化学は「理論による予測の学問」へと進歩発展しているが、歴史的には実験を通して、帰納された理論や結論が多い。基礎的なテーマについて実験・観察をすることが、自然科学に携わる者にとって大切である。自然法則を理解し、“考える”という能力を育むことをめざす。
実際の実習内容は、高校化学の範囲にもある「無機定性分析」から始まり、そのあと、生命科学(食品・医薬品)の分野でも用いられる機器分析などに発展させていく。

生物学実験

生命現象を理解するには、生物や生体構成物質を直に扱う実験が欠かせない。本実験では生物を直に扱い、生命現象の観察と理解を主な目的とする。実験テーマは「動植物の基本体制」と「細胞と組織」に大きく分かれる。前者のテーマでは動植物の多くの分類群の中から比較的身近なグループを材料に選んで、その生物種の体制が門のレベルで判別できる基礎学力と観察眼の涵養を目指す。後者のテーマでは顕微鏡観察の基礎技術を身につけて、種子植物の器官と組織を観察し、分裂組織と永久組織および3器官と3組織系を判別する能力の涵養を目指す。

2年次

生命科学実験

「生命科学実験」では、生命現象を「解剖生理学」、「細胞培養」および「生化学」の観点から観察し、実験技術やデータの取り扱いを学びます。「解剖生理学実験」では、ほ乳動物の個体や組織の扱い方を学び、「細胞培養実験」では、培養細胞の取り扱い基本操作を学んだ後、応用実験として細胞分化現象の観察を行います。さらに「生化学実験」では自然界を構成する物質の構造と性質について、講義や参考書で得た知識を確認すると共に、それらを調べ、分析するための技術を習得することを目的とします。

環境科学実験

本実習では、環境中の化学物質を分析するために必要な機器分析学実験と、微生物を取り扱うために必要な微生物学実験を行う。実験は機器分析実験と微生物実験に分かれて実施する。機器分析学実験では、環境科学あるいは有機合成で取り扱ういくつかの機器類について、原理を理解し、正確な使用法を判断し、的確な結果が得られるようになることを目標にしている。微生物学実験では、目に見えない微生物の性質を知りその取り扱いに慣れることで、日常の衛生管理や衛生的な知識を深めるのに役立つことを目標にしている。

生命科学演習

生命科学は現在、目覚ましい発展を遂げている分野の一つであり、研究領域の細分化や各分野の研究の深まりや複雑化が進んでいる。それゆえ、自らが興味を持てる分野を見付ける為には、膨大な情報を収集し整理しなければならない。生命科学科では、1、2年次において生命科学を学ぶ上での基礎的な科目を習得し、3年次以降にヒトを主体とした生命のしくみや生命を取り巻く環境に関するより専門的な知識を学んでいく。しかし、生命を総合的に捉え、実験や研究に正しく応用していくためには、基礎的な知識・技術を“使える”段階まで理解しておくことが不可欠である。本講義では、主に生化学、分子生物学、分析化学などで学んだ内容について演習問題を解き、その理解を深める。さらに、実際の生命科学研究の実験に必要な計算や考え方を学んでいく。

3年次

分子生物学実験

生物の生命活動の基本となる遺伝子について、分子生物学の基礎的な知識とその人為的操作のための技術を修得する。このため、2クラスに分けて、それぞれ2種類(各7回)の実習を行う。DNAの損傷、修復過程、PCR、DNA多型の検出、DNA制限酵素切断、サンガーシーケンスの実習と、大腸菌への外来遺伝子の導入と発現誘導、菌体からの組換えタンパク質の精製の実習を行う。これらの実習を通じて、さらに生命科学への興味を深める。

細胞生物学実験

病理組織学実習、免疫学実験、細胞培養実験、バイオインフォマティクスの各実習を通して、分子、細胞から組織、器官、個体についての学びを深めます。生命科学の専門家として必要な基本的技術の修得と、講義により得られた生命現象に関する知識を、実体験を通してより一層理解を深めることを主目的とした実習です。

卒業研究ゼミナール

3年次の後期に実施する「卒業研究ゼミナール」は、4年次の最終学年1年間をかけて実施する「卒業研究」の準備である。配属された研究室において、研究室の研究テーマ、その背景となる基礎的な知識と最新の研究結果、卒業研究で必要となる実験手法を身につける。また、研究を行うにあたっての安全管理、研究倫理、研究リテラシーを身につけ、4年次からの卒業研究に臨む準備を行う。

4年次

卒業研究

最終学年である4年次の1年間に実施される「卒業研究」では、学生が個々の研究室に配属され、それまでの勉学で培ってきた能力を最大限に発揮して実験に取り組む。まず、配属された研究室の教員から与えられた「研究テーマ」を十分理解するために、教員との討議を重ね、図書館等を利用する。次に、「実験に必要な手技を習得」するために、実験を繰り返して技術を高める。さらに、得られる実験結果をどのように分析して考察し、それを基にして次の段階はどの方向に進めばよいかを学ぶ。その際、参考となる英文および和文の文献の検索法と利用法を身に付ける。このようにして、1年間で「論理的・実証的解決能力」を養う。研究成果をいかに簡潔に印象的にまとめて発表するかという「プレゼンテーション能力」の育成も重要なので、教員と共同実験者(同級生)の助言を得ながら「卒業研究発表会」の準備を行う。1年間の成果は、総力を挙げて「卒業論文」にまとめあげ、社会への巣立ちまたは大学院進学への出発点とする。

選択科目

アドバンストリサーチ

学生が卒業研究における研究分野を選ぶ時、自分の適性と興味の持てる分野のすり合わせをする必要があるが、座学や学生実習から得られる情報から各研究室の先端研究の内容や技術を想像するのは、実際に研究に触れてない一個人では大変困難なことである。そこで、あらかじめ研究室体験を積むことにより、研究分野や修得技術選びの検討材料を増やすとともに、その分野に進む為に自分に必要な知識を再確認し、自主性を持って卒業研究までの基礎学習ができるようになることを目的に開講されている。

バイオ・環境計測技術演習

生命科学科のカリキュラムは資格取得に特化したものではありません。一方、各種資格の需要は年々高まっており、意欲のある学生は自分の将来のために資格取得を目指すでしょう。そのため、本講義は生命科学科の学生にとって比較的挑戦しやすい資格試験の合格をサポートするために開講されます。本講義が主に対象とする資格は国家資格試験「第一種・第二種放射線取扱主任者試験」、「危険物取扱者(甲種)試験」「公害防止管理者試験」、「環境計量士試験(濃度関係)」、「ITパスポート」、日本バイオ技術教育学会の認定資格試験「上級・中級バイオ技術者認定試験」、日本バイオインフォマティクス学会の認定資格試験「バイオインフォマティクス技術者認定試験」などです。

社会奉仕実習

ボランティア活動を通じて倫理観や社会貢献の精神、公共性や社会性の意識を身につけることを目的としている。さらに、実習後の報告書の作成を通じて、様々な角度から物事を見ることのできる能力、自主的・総合的に物事を考える力、的確に判断できる能力、社会奉仕することへの誇り、協調性とリーダーシップの涵養を目標とする。

1年次

一般化学

言うまでもなく生命体は化学物質の集合体であり、あらゆる生命現象は化学反応のルールから逸脱することはない。そのため生命科学分野の学修には基礎的な化学の知識が必要である。特に分子レベルの生命現象を理解することを目的とする学問領域では原子、分子の基本的な性質や挙動の理解は必須である。本講義では、高校で化学を履修していなかった学生に配慮しつつ、生体内での化学反応や分子の相互作用を理解する上で必要な基礎化学について、演習を行いながら講義を進めていく。

有機化学

生命は有機分子の集合体であり、生命現象は様々な有機分子同士の化学反応から成り立っている。本講義では、生命現象を分子レベルで理解するために重要な有機化学の基礎的な概念や知識を学習する。高等学校における有機化学では、数多くの化合物や反応が出てくるため、有機化学は複雑な暗記の学問であると考えがちである。しかし、本来の有機化学は電子の動きを中心とした幾つかの基本的な原理の上に成り立つ学問であることを理解してもらいたい。

生化学

ヒトの体は38兆個もの細胞の集合体であり、約200種類の異なる性質と役割を持った細胞が集合して臓器や組織を構成し、体の構成単位を形成しています。これらの素材は有機化合物であり、大きく4種類の生体成分、タンパク質、糖質、脂質および核酸に分類されます。本講義では、生体を構成する有機化合物から化学エネルギーを得るシステム、構造の特徴と主要な役割について理解することを目的としています。

生命科学数理演習

生命科学の研究において得られた膨大なデータを正しく分析・解釈するためには、数学の知識が必要不可欠です。生命科学数理演習では、今後学習や研究をおこなう上で理解しておきたい最低限必要な数学(主に微積分学と統計学)について講義をします。微積分学では、微分や積分の概念、さまざまな初等関数の微分や積分の計算方法について学びます。統計学では、得られたデータの傾向や特徴を数値で表す方法や、推定に着目して区間推定に必要な信頼区間の特徴や求め方について解説します。本講義を通して、スキルとして数学の基礎を確実に身につけてください。

2年次

代謝生化学

生命科学分野の基盤の一つである生化学を「代謝」をキーワードに紐解いていきます。生体内で利用される物質の生成や分解過程のメカニズムだけでなく、代謝経路の破綻が様々な疾患の原因となることを理解し、生命現象が化学反応に支配されていることを体系的に学ぶ科目です。

生物有機化学

生命は有機分子の集合体であり、生命現象は様々な有機分子同士の化学反応から成り立っている。本講義では、生体内での化学反応を有機化学の視点で捉え、概説する。また、1年次の有機化学や生化学の内容も踏まえ、生物と化学の知識をつなげることに意識して展開する。さらに、生体分子の立体構造と機能の相関をミクロの視点から理解することを目指す。

分子生物学

生命現象を分子レベルで明らかにしょうとする分子生物学の進展は著しく、その範囲は極めて多岐に渡っている。この講義では、生物学または生命科学の基礎を学んだ学生を対象に、分子生物学の基礎を解説する。特にゲノムDNAの構造、遺伝子の発現、転写のメカニズム、タンパク質への翻訳、DNAの複製・修復機構等に力点を置く。また、遺伝子発現解析や遺伝子組換え、ゲノム編集など、核酸をターゲットにした分子生物学に関する実験に取り組む際に役立つ理論的背景を理解する。さらに、ゲノムの多様性を生物進化の観点から理解する。

機器分析化学

生体内や環境中の物質循環を把握するためには、化学分析機器を駆使して、試料内に含まれる有機化合物や無機元素を分析する必要がある。近年のエレクトロニクスの進歩によって、分析機器は自動化され、ブラックボックス化されてしまっているが、使用されている原理は、物理、化学的な理論に基づいている。本講義では、分析機器の原理と応用例を交えながら学習する。特に、「分析機器を何のために使用するのか」、「対象試料の何を測るのか」、「測定データから何が判るのか」を中心に、研究現場に即した実用的な機器分析法を解説する。

医学概論

医療関係の仕事に従事する者だけでなく一般人にとっても医学のあらましを総括的に学ぶことは重要です。本科目では、医学とは何かを考えることから始め、医学の歴史、医療者と患者の関係、多職種によるチーム医療まで幅広く医学と医療について学びます。内容としては病気や治療についての初歩的な知識、生命倫理、医療法、医療制度、疫学情報などが含まれます。特に臨床医学、遺伝医療を重点的に取り上げ、最近の時事的な話題を取り入れながら解説します。

解剖生理学

多細胞生物において個々の細胞は無秩序でばらばらに存在している訳ではありません。個体としてホメオスタシスを維持し、生命現象を営むためには、同じはたらきをもつ細胞や構成要素が時間・空間的に調和をもって配列(構造)し、はたらく(機能)ことが必要です。そのため、構造と機能の関係を理解することは、生物を総合的に捉えるうえで重要になります。本講義では人体生理の観点から人体の器官ごとの機能についていわゆる植物機能(呼吸や循環のように体の内部の状態を維持する機能)を中心に解説します。

生命科学英語

生命科学に関連するマイルストーンとなった論文や最先端の論文を用いて、生命・医療分野に関わる多種多様な事柄に親しみ、専門用語の習得や読解力を養うことで、知識を深めます。社会の現場で自分の考えをプレゼンテーションする能力とともに、グループワークを通して他者と共鳴できるコミュニケーション能力などの実践力を身につける科目です。

微生物学

微生物は、細菌・真菌・ウイルス・原虫などを含むミリメートルに満たない生物を意味し、酸素を生み出し、石油や鉄鉱石を作り、戦争にも関わり、人間生活に利益と厄災をもたらしてきました。本講義では、まず、“微生物の生体学的メカニズム”について、細胞構造やエネルギー代謝、物質生成の観点から概説します。さらに、環境動態やヒトの病気、食品腐敗に関わる多様な微生物を紹介し、医療、製薬、食品発酵や環境浄化に利用される微生物のバイオテクノロジーについても言及します。

細胞生物学

生物はその基本単位である細胞の集合体であり、様々な特徴をもった細胞がそれぞれの役割を果たし、また相互に関連しあって働くことで高度な生命活動を担っています。細胞の構造や機能を分子レベルで解析することで、細胞内での遺伝情報の伝達、それに基づくタンパク質の合成、その過程を調節するシグナル伝達のしくみなどが明らかにされてきています。本講義では、細胞の基本構造を分子レベルで理解し、その多様性と集合体としての生物という概念について学びます。さらに、生物として機能するための細胞間の情報伝達機構や、それによって起こる細胞の挙動についても学びます。細胞生物学の講義を通して、細胞を基礎として俯瞰的に生命現象を理解することを目指します。

分析化学

分析化学は、試料に含まれる化学成分を特定(定性)し、その化学成分の量を決定(定量)することで、化学物質の存在状態を探求する学問です。化学成分で構成され物質の特性を定性定量的に理解するための方法論である分析化学は、環境・医療・食品に関わる様々な学問分野で応用されています。分析化学の研究アプローチは、大きく分けて“定性分析(どんな物質が含まれているかを知る)”と“定量分析(その物質の量はどの程度かを知る)”になります。本授業では、環境や生体の物質循環に貢献する分析化学に焦点を絞り、定性分析の理論に触れつつ、定量分析を主軸に学んでいきます。

遺伝子工学

現在、生命科学のみならず幅広い分野で様々な現象の解析、物質の発見に寄与している遺伝子工学の基本的技術ならびにその蛋白質工学的利用について紹介する。分子生物学の基礎から遺伝子工学の技術・応用まで、大腸菌発現系に重点を置き、講義を行う。将来、バイオ産業関係への就職を考えている学生に必須な知識について説明する。

生物統計学

統計データは世の中に多数存在しており、それらは今後さらに膨大となることが予想される。統計学の知識を駆使して必要な情報を正しく読み取るスキルが必須である。また、生命科学研究においては、少ないサンプルをもとに一般性を議論する場合、統計処理により評価を行うことが多い。すなわち、現在所持しているデータがどのような確率分布に従い、それに応じた適切な統計処理を行うことも必須のスキルである。この講義では、統計学が生命科学にどのように役に立ち、どのような理論のもと、どのような方法で実施されているのかを学ぶ。また、Excelを用いて実際の統計処理を行うことにより、理論面と実践面から統計学の理解を目指す。

3年次

生物物理化学

生物物理化学とは、生命の様々な現象を物質化学の言葉を用い、定量化するための学問です。従って、その現象や原理は多岐に渡っており、基礎を修得するためだけでも多大な努力・時間を必要とする。本講義では、それらの中で、生命科学の初心者に求められる必須項目・原理に焦点をあて、概説する。また、基本だけでなく、現代の生命科学研究において理解すべき応用項目について講義を行う。

発生生物学

発生生物学は、ヒトのからだの構造や機能の理解、あるいは先天異常や疾病の成因を理解する上で、不可欠な学問分野です。発生途上にある胚の形態やそれを制御する分子の発現は時間の経過とともに移り変わることから、発生現象の全体を理解は必ずしも容易ではありません。そこで本講義では、この発生についての理解を、発生過程の時間軸を形の形成と遺伝子発現の相関が理解することを目指します。さらに細胞周期、細胞極性、体軸形成などの最新の知見ならびに研究例を交えながら、生物の”からだづくり”の巧妙さを、分子、細胞及び形態レベルで解説します。また、その先には子供たちの発達に関わる内的、外的要因を理解し、先天異常だけでなく発達障害や精神疾患、生活習慣病の罹患への関与を理解することで、幸せな妊娠と出産、育児のあり方について考察します。

食品衛生学

我々は成長、栄養摂取、健康維持・増進のため食品を摂取します。また、多くの人にとって食生活はコミュニケーションや幸福感を高め、心を豊かにします。一方で、食品の取り扱いを間違えると食中毒などを引き起こします。その被害は個人や家庭内で起こるものから一事例で数万人の患者出すもの、軽症から致死的なものなど千差万別です。本講義では食品の安全を低下させる種々の要因とそれらを避けるための手段、および食品衛生に関わる法規について学びます。

ゲノム解析

ヒトゲノム解析が進み、遺伝子診断、遺伝子治療がようやく可能な時代になりつつある。現在まで種々の疾患の原因遺伝子のクローニングや発生メカニズムが明らかになり、疾患に特異的な遺伝子変異の存在が判明している。本講義は、様々な遺伝子変異の種類とそれによって誘発される細胞の変化を理解し、これらの遺伝子変異を検索するために用いられる手法の原理とその成果の利用について解説する。講義においては、実際にがん細胞を用いた遺伝子変異の研究のデータも紹介しながら、バイオ関連分野に最低限必要な解析技術の基礎的知識の修得を目指す。これら分子生物学的手法に基づきその原因遺伝子が明らかとなった種々の疾患については、その成り立ち及び疾患概念を病理病態学的に解説する。

免疫生物学

ヒトの生命を支える上で最も重要なシステムの一つが免疫系です。細菌やウイルスに対抗して感染防御を行い、癌細胞を除去するのが免疫系の働きです。また、輸血や臓器移植に際しては、提供者との血液型の比較や免疫系の働きを抑えることが問題となります。食品や花粉に対するアレルギーは免疫系の過剰応答によって引き起こされます。本講義では、免疫システムがどのような仕組みを持っており、どのように働くのかを理解することを目標とし、アレルギー、病原性微生物からの感染防御、自己免疫疾患など我々の体内の現象について学びます。

神経科学

神経系は生体が個体として存在するために必須の働きをしている。例えば、外部情報の取込み、情報の処理・統合・調節・蓄積・修飾、外部への出力など、生体の基本的な営みを司っている。あるいは体内器官の自律的調節にも関わっている。この授業では、アクティブラーニング形式の講義や視聴覚資料の鑑賞を随時取り入れ、神経系の構造、伝達の仕組み、外部情報の処理・調節・統合(感覚器官の働き)、外部への出力(運動器官の働き)について学ぶ。本授業から神経系による生体制御の仕組みを分子レベルから個体レベルにおいて理解し、知識の暗記ではなく知識を活用するための能力を身に付ける。

食品化学

人間は、生きていくために必要な栄養素すべてを体内で合成できないため、日々の食事から栄養素を補っています。食品には栄養機能をはじめとするさまざまな機能が備わっていますが、ひとつの食品のみで生きていくために必要なすべての成分を賄うことはできません。本講義では、食品が持つ“機能”や、食品を構成する成分の化学的な性質やその変化について学びます。さらに、近年注目されている食品の機能性や、食の安全性についての知識等の見解も深めます。

薬理学

薬理学は薬と個体、臓器あるいは細胞との相互作用を研究する学問である。分子生物学や生化学などを含む複合的・横断的研究の広がりに加えて、最近ではヒトゲノム情報やタンパク質データベースを利用した創薬研究も盛んであり、薬理学の発展も日進月歩の状況にある。本授業では薬の引き起こす生体の反応やその作用機序を分子レベルで解説しながら進めて行く。またゲノム創薬やプロテオミクス創薬を含む医薬品開発や医薬品業界についても解説する。ただし「木を見て森を見ず」にならないように、生体、臓器の生理学や化学もあわせて説明する。なお、取り扱う薬物は神経系作用薬および循環系作用薬のみとする。

公衆衛生学

昨今のパンデミックによって、一般にも公衆衛生学が広く知られるようになりました。公衆衛生の大きな目的は「予防医学」であり、具体的には「地域社会の組織的努力によって病気を予防し、肉体的健康だけでなく精神的にも健康な状態を得るために努力する」ことです。本授業では、予防医学(感染症対策・母子保健・生活習慣病対策・精神保健・老人保健など)、環境保健(食品衛生・環境衛生・住宅衛生・廃棄物処理・公害対策)、産業保健、学校保健、国際保健、疫学・保健統計、保健行政・医療行政・医療保障制度などにふれ、人と病気に関係した事項を身近な問題として総合的に学びます。

生命倫理

科学技術の進展が病気の診断、予防、治療などを向上させ、人類及び社会に大きく貢献しますが、この発展がもたらす倫理的問題を考慮することが重要です。現代では、生殖医療、終末期医療、遺伝子診断や遺伝子治療、再生細胞の医療応用など様々な生命倫理に関わる問題が新たに発生しています。本授業では、これらの諸問題に関連する科学技術やその背景を理解し、それに対応する現在の法制度や最新の動向を学習します。社会における生命倫理のあり方を学び、自分なりの見解を確立することを目的にします。

病理学

病理学は、病気の成因・経過・予後を追求する学問で、医学を学ぶ上では最も基礎となる必須のものである。本講義では、単に疾患概念を理解するのみならず、個々の疾患において正常な細胞がいかに病的に変化していくのかを、実際の生検・手術材料・病理解剖の実際の症例を見ながら肉眼的かつ組織学的にとらえ疾患の理解を深める。講義の前半は、病理学“総論”を学び、後半は代表的な疾患(特に悪性腫瘍)について学ぶ。

内分泌学

生体機能を維持するためには、神経系と内分泌系による情報伝達が重要な役割を担っている。これら2つの情報伝達系のうち、本講義では内分泌系について主に脊椎動物を中心に分子レベルから個体レベルまで体系的に学ぶ。ホルモン分子の化学構造や合成・分泌調節機構および作用機構を理解した上で、生体内で複雑に作用するホルモンの統御システムを学びます。講義では、現在知られている多くのホルモンのなかから、特に生体内の主要現象に重要な役割を果たすいくつかのホルモンを取り上げ、それらの性質や機能、関連する疾患などについても学びます。

バイオインフォマティクス

現在、分子生物学領域では、遺伝子情報の検索のみならず実験の計画の創案や論文検索などインターネットを利用した様々なデータベースを活用することが不可欠になっている。今後も、生命科学分野で得られる成果をもとに、データ量の増大、項目の複雑化、解析内容の高度化などに対するデータベースが数的にも質的のも益々発展していくものと考えられる。バイオインフォマティクスはこれらの大量情報を解析する学問であり、生物学と情報学を結びつけた学問領域である。本講義では、実際にデータベースを活用し、かつ遺伝子・タンパク質の検索法や文献検索法を学びながらバイオインフォマティクスの基礎的知識を体得する。

4年次

栄養学

食べることは生きること。栄養学は「人間が疾病に陥ることなく健康に生活するため」に発展してきた学問です。しかし、栄養の重要性を理解していても、実際に食生活改善のための行動を起こせる人は少ないのが現状です。本講義では、栄養素の代謝・吸収など基礎的な事項を概説するとともに、個人や生活に基づいた実践的な栄養学の理解に取り組みます。また、現代の食環境に焦点を当て、問題とされている疾病やそれ関係する栄養摂取について考え、栄養学における疾病予防への見解を深めます。

分子遺伝病態学

分子生物学の進歩とともに、人体の機能をより深く理解することが可能となってきました。その結果、遺伝学においてもリスク予測等の疫学情報を基にした確率的な学問から、科学的根拠に基づいた分子病態を知ることが可能となり、新しい学問へと展開しつつあります。染色体解析に始まり、ゲノム解析や発現解析など多様な遺伝学的探索を重ねることで、発症予測や治療法選択など実践的な医療に応用することが可能になってきました。本科目では分子生物学を基礎とし、人に生じる生理学的あるいは病的状態(病態)、社会に求められている医療やそれを担う人材について触れます。

医療情報学

現在の医療現場においては、医療情報を電子カルテに蓄積し、これらを管理および活用することが必須になっています。実際の現場で、医療情報技師などが運営管理者として従事しています。医療情報学では、様々な医療にかかわる情報を対象とし、医療情報を有効に活用する技術と方法を学びます。情報処理技術および医療・医学、医療情報システムに分けて、必要な知識を解説します。今後、さらなる発展の見込まれるゲノム医療や個別化医療、AI医療についても具体例を提示しながら紹介します。

生命科学ゼミナールI,II

生命科学は現在、目覚ましい発展を遂げている分野の一つであり、研究領域の細分化や各分野の研究の深まりや複雑化が進んでいる。4年次の卒業研究では、それぞれの配属先の専門に特化した知識や技術の習得が主になるが、それだけでは生命科学の分野で実験や研究に正しく応用していくことは困難である。そこで本講義では、研究文献などの読み方を学び、論文の読解を通じて、生命科学の中でより分野横断的に様々な最先端の研究に触れる。

生命科学コミュニケーション

4年生を対象とした英語科目です。学部の4年生が受講でき、学部と大学院をつなぐことを目指した英語科目は全国の大学でも珍しく、貴重だと思います。この授業では、大学院での研究活動に関する情報を受発信するための準備として、英語によるコミュニケーション力を養い、ご自身で英語力を学び続けるための学習方法を提案しています。受講生の専門知識を活かしながら、研究内容を発表し、専門分野で自分の考えを英語でコミュニケーション出来る力を向上させることを目標としています。