研究室選びの前に
研究室選びの前に考えるべきこと―
自分の興味や将来の展望を考慮に入れることは大事ですが、それ以前に自分の資質についてまず考えないといけません。研究室選びの前に自分の能力を把握しておきましょう。
自分の資質の把握:
1.持続力
ここでは、特にモチベーションに左右されない持続力を指します。興味があることや好きなことだったら、誰でも持続することができます。でも、実際の仕事や研究では好きでもないこと、すぐには結果が出ないことばかりです。それをやり続けることができるかが成果を残せるか、評価されるかの鍵になります。後に出てくる「慎重さ」や「器用さ」もこの持続力さえあればあとからついてきます。この「持続力」を軽視している人は、研究室に入っても絶対に何も成し遂げれないので、そもそも研究室を選ぶ意味がないです。
2.慎重さ
慎重さとは、「余裕のある状況作り」と「準備を伴う実行」と「考え立ち止まる検討」が含まれていると思います。実験のスケジュールを決めて、必要なものを勉強・準備してから、実際に実行して、実行中も進行状況と状態変化を精査し、結果が出たらそれを細部まで考察する。どんな実験系(in silico, in vitro, in vivo)でも必要とされる資質です。ストレスマネジメントもここに入ってきます。テストで結果を出せない人、実習などで器具の破損を繰り返す人、レポートの細かいルールを守れない人などは、この「慎重さ」が欠けています。「慎重さ」とは何か、自分ならどう身につければいいか、よく考えましょう。ヒントは「心掛け」を持続できない人には一生身につきません。
3.器用さ
物質を扱う理系研究室のほとんどであると何かと有利な「器用さ」です。特に、in vivo系の解剖などを扱う研究室では、器用さが足りないとかなりのストレスになるでしょう。あるK先生が言っていたのは…「ピンセットで胡麻をつかんで移動できるか」とか「2cm四方の折り紙でツルが折れるか」でチェックするといいかも、だそうです。ただし、こういった匠の技も最初から身についているものではないので、努力と持続によって後からついてくるものです。「器用さ」が要求される研究室を志望する場合は、早めに意識しだした方が良いでしょうね。
研究室(研究テーマ)への興味うんぬんを考える前に、研究室で要求される資質がどういうもので、自分にどの程度それがあるか把握しましょう。資質が圧倒的に欠けているのに、研究に興味があると言われても…不幸な結末しか思いつきません(少し欠けている程度なら「持続力」があれば埋めれますが、多くの人が「持続力」が圧倒的に欠けています)。
過去の生活習慣や成績などから、資質に関連することを自分から洗い出してみて、興味も資質もマッチしていそうな研究室を選びましょう。研究室をある程度絞ったら、次は研究室の管理者との相性も考慮した方が良いですが… そもそも、教員側は職業的に上記3つの資質を兼ね備えている人が多いので、どれかが大きく欠如している人とは相性が悪いです。あと、相性を考えるときは、「授業をしている先生」と「研究者としての先生」が同じと思わないようにしましょう。実際の姿は、研究内容を聞くなどで、何度か研究室訪問して推察する必要があります。