なぜ学び、なぜ考え、なぜ想像する?
『ファイアパンチ』(藤本タツキ)を読んでほしいです。
極寒の世界で不死者の主人公(アグニ)は、自分の肉を削いで村の人々を養っていました。ある日、ある男(ドマ)に故郷の村と兄弟を焼かれ、その復習の旅に出ます。
アグニとドマの再会のシーン、とても考えさせられます。
ドマ「アグニ、今の人々に足りない物は何だと思う?」

出典|『ファイアパンチ』(作者:藤本タツキ|出版社:集英社)
ドマ「温かい気候でも、
大量の食糧でも、
神でもない、
正しい教養だ」
ドマ「人肉で食いつないでいる村人は、お前が死んだらどうなると思う?」
アグニ「………飢えて死ぬ…」
ドマ「死なない! 命は簡単に死なない」
ドマ「お前が死ねば、人肉を食う文化だけが残る。他の村を襲って人肉を作るか、仲間同士で共食いをするだろう」
ドマ「自分の基盤に正しい教養がないから簡単に馬鹿になれる。それなれば、それはもう人ではない」
アグニ「それはっ!そんなの、お前の妄想だ!!」

出典|『ファイアパンチ』(作者:藤本タツキ|出版社:集英社)
ドマ「妄想ではない、想像だ。教養がないから先のことを想像できない。想像が出来ないから間違った正義をふりかざしてしまう」

出典|『ファイアパンチ』(作者:藤本タツキ|出版社:集英社)
大学生でこんなこと言われたら、もはや、アグニと一緒に言葉を詰まらすしかないです。
このあと、ドマは、「だからと言って村人を焼いてよい理由にはならない」という話をして、自分も間違った教養を疑うことなく信じ、間違った正義を振りかざした過去を詫びます。
ただ、この話には注意するところがあると思います。
“正しい”教養とドマは言っていますが、人間が決めることに“絶対的に正しい”は存在しません。
だから、我々は学び、それを疑って、考え、そこから想像しながら修正し続ける必要があります。