論文が採択されました!
修士2年生の杉山礼さんが筆頭著者の論文がToxicological Sciencesに採択されました。
妊娠のごく初期にアルコールにさらされると、赤ちゃんの脳の発達に長期的な影響が出る可能性があることがわかってきました。
この研究では、妊娠初期のアルコール曝露が、脳の神経細胞の生まれ方(神経新生)や脳の形づくり(皮質形成)、そして生まれた後の行動にどんな影響を与えるかを調べました。
その結果、アルコールにさらされたマウスでは、脳の神経細胞を作る細胞の働きが弱まり、脳の構造がうまくできなくなることがわかりました。
また、脳の中の免疫細胞(ミクログリア)が減っていて、炎症が脳の発達に関係している可能性も見えてきました。 さらに、遺伝子の働きを調べると、神経の成長に関わる遺伝子のバランスが崩れていることが判明。行動の面では、アルコールにさらされたマウスは、動きが少なくなり、他の個体との距離が近くなる傾向が見られました。
この研究は、妊娠初期の環境が、脳のかたちや行動に長く影響することを示す重要な成果です。胎児性アルコール症候群(FASD)の理解を深めるとともに、早期の予防や支援のあり方を考える手がかりになります。
「Preimplantational ethanol exposure causes disturbances in gene expression
and abnormalities in cerebral cortex morphogenesis and behavior」
Rei Sugiyamai, Mizuki Tanizaki, Munekazu Komada
Toxicol Sci. 2025 Jul 23:kfaf104.
doi: 10.1093/toxsci/kfaf104.
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