論文が採択されました!
修士2年生の谷崎美月さんが筆頭著者の論文がToxicology Lettersに採択されました。
自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的なコミュニケーションの難しさや、繰り返しの行動が特徴の発達障害です。遺伝的な要因だけでなく、妊娠中の環境も関係していることがわかってきました。
この研究では、妊娠中に使われる抗てんかん薬「バルプロ酸(VPA)」が、赤ちゃんの脳のかたちや働き、そして生まれた後の行動にどんな影響を与えるかを調べました。
マウスを使った実験では、妊娠中にVPAを投与すると、脳の細胞が過剰に増えたり、免疫細胞の形が変わったりする異常が見られました。
さらに、マウスのいる環境(ひとりでいるか、みんなでいるか)によって、行動の変化にも違いが出ました。
・ひとりでいるマウス:動きが少なくなり、不安そうな行動や社会的な交流の異常が見られました
・みんなでいるマウス:動きは普通でしたが、他の個体との距離感や関わり方に違いが見られました
この研究は、妊娠中の環境だけでなく、生まれた後の育ち方も、発達障害の行動に影響する可能性があることを示しています。
つまり、「環境が脳と行動をかたちづくる」という大切なメッセージが込められています。
「Mouse model of prenatal valproic acid exposure: Effects on cortical morphogenesis
and behavioral outcomes across environmental conditions」
Mizuki Tanizaki, Takuma Matsui, Rei Sugiyama, Niina Kiriyama, Munekazu
Komada
Toxicol Lett. 2025 Sep 5:413:111719.
doi: 10.1016/j.toxlet.2025.09.004..
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