プロトコル集一覧

研究室内プロトコル集

研究室での実験に関するプロトコル集を作成しています。実験の引継ぎはしっかりしてもらわないと大変困りますが,引継ぎしたからといって「慣れ」や「経験」が必要な実験は難しいですよね。そんなときに引継ぎ内容を思い出す「ヘルプ」として使ってもらえたら幸いです。プロトコル集は研究室内部のみの情報です。許可なく外部に漏らしたり,転載したりすることは厳禁です。

2020年10月19日

目次|プロトコル集

 

0.書類関連

0-1.プレゼンテーション資料作成

0-2.プレゼンの練習と微調整

0-3.卒業論文様式

 

1.基礎的な実験操作

1-1.基礎技術動画まとめ

 

2.遺伝子操作|目的タンパク質発現プラスミド作成

2-1.

 

[工事中]

2020年10月19日

0-1.プレゼンテーション資料作成

わかりやすく、きれいなプレゼン資料を作るためには、センスではなく知識が必要です!
ただ、デザイン・配色・配置などには正直ちょっとだけセンスが要ると思うのですが…「いいな!」と思ったスライドを真似したら解決します!

さて、下記のWebサイトを参考にしてチェックリストを作ったので、資料作成の前に必ずチェックしてください。項目 0 から順番にやっていくことをお勧めします。後から変更するのが面倒な順にしています。どの項目も必ず、一度実験ノートなどに書き出しましょう。一つのプレゼン資料を作るのに、こんなにも考慮しないといけない項目があるのはしんどいですが…まぁ、慣れです。作成途中に何度も見返したりした方が良いでしょう。
そのうち、研究発表用のプレゼンテーションキャンバスも作成しようかな。

 

参考1|伝わるデザイン
参考2|見やすいプレゼン資料の作り方
参考3|デザインをカッコよくするコツ
参考4|ビジネス系デザインの基礎知識
参考5|色で失敗しない為に
参考6|プレゼン講座~ストーリーの練り方

 

◆チェックリスト◆

0.ストーリー作成準備
☑ 対象|背景(基礎知識)・興味・特性
☑ 伝える理由|何してもらうため?
☑ 伝えたいこと|データ・結論(項目5)
☑ 伝えたいイメージ|自分・内容それぞれで
☑ 伝える表現手段|データor感覚重視?
☑ 問題意識を持ってもらう導入
※ここで決めたイメージ・表現に合わせた配色・フォントにしていきます。
1.配色を決める
☑ テーマカラー
☑ サブカラー
☑ アクセントカラー
2.フォントを決める
☑ 日本語フォント
☑ 英数字フォント
☑ 太字は「文字の輪郭」
☑ 3段階のフォントサイズ
3.画面サイズを決める
☑ 古い会場|4:3
☑ 新しい会場|16:9
☑ 画面の95%, 90%, 80%範囲確認
4.スライドマスター設定
☑ 決めた配色を設定
☑ 決めたフォントを設定
☑ 決めたフォントサイズを設定
クイックアクセスツールバーの整備
5.ストーリー設計
☑ 全体を通じて言いたいこと
☑ 細かい言いたいこと
☑ 言いたいことの順位付け(重要度)
☑ 言いたいことの根拠に必要なこと
☑ 根拠データの順位付け(重要度)
☑ 最初に「全体で言いたいこと」の概要
☑ 問題意識を持ってもらう導入を入れる
☑ 「目的」がある場合は最後に「答え」
☑ ストーリー設計を複数パターン準備
上司がいる場合は上記を軽く決めて打診したほうがいい。
6.スライド様式チェック
☑ 規則性を意識する
☑ スライドごとでパターンを変えない
☑ 余白を意識する
☑ 整列する(要素をそろえる)
☑ 関連性があるものを近づける
☑ 目線の流れ「Z」を意識する
☑ 画像サイズの統一
☑ 画像の縦横比を変えない
☑ 斜め線を減らす(または角度の統一)
☑ 角丸四角はR値を統一する
☑ 楕円を使わない
☑ テンプレートオブジェクトを使わない
☑ オブジェクトに枠線を多用しない
☑ 文字や図を枠で囲み過ぎない
☑ 無駄な(無くても意味が通じる)矢印は使わない
※配置が苦手な人はグリッド線を表示する。
7.ストーリーチェック
☑ まず、自分が理解・納得しているか?(いまさら?)
☑ 問題意識を持ってもらう導入が入っているか?
☑ 各スライドが一目で言いたいことがわかるか?
☑ 1スライドに3つ以上の「言いたいこと」が入っていないか?
☑ 言いたいことが重複していないか?
☑ 言いたいことが前後していないか?
☑ 最後に本当に「結論」が成立しているか?
※そもそも自分で納得できていない人は項目0に戻るか勉強するかしてくれ!
8.相互チェック
☑ 他人に見てもらう(対象条件と近い人)
☑ 全体のイメージを聞く
☑ 各スライドのイメージを聞く
☑ プレゼン者のイメージを聞く
※自分の想定(項目0)通りだったらOK!
2020年10月20日

0-2.プレゼンの練習と微調整

一目でわかるプレゼンテーション資料ができたら、次は発表の練習と資料の微調整をしましょう。まずは、プレゼン資料に対する台本を作るところから始めましょう。スライド資料が固まってない段階で台本作りをしても良いですが、大幅修正が来ると二度手間になったり、一度作った台本に縛られたりする可能性もあるので注意してください。あくまでその場合の台本は「0.ストーリー作成準備」的なものにしておく方が良いです。以下の台本作成の流れは、「ストーリー設計」が固まってきた段階を想定しています。

 

◆台本作成の流れ◆

0.ストーリー設計をチェック
☑ 全体を通して「言いたいこと」
☑ 各スライドで「言いたいこと」
1.プレゼンの最初と最後のプレ台本の作成
☑ 導入-背景-目的の「言いたいこと」をそのまま書き出して入れる
☑ 言いたいことが伝わるか、「対象」が感じるであろう「疑問」を書き出す
☑ 「疑問」が解消するように台本に肉付けする
☑ 背景-目的の「答え」を意識しながら「結論」の台本を作る
2.各スライドのプレ台本の作成
☑ 各スライドの「言いたいこと」をそのまま書き出して入れる
☑ 各スライドの「言いたいこと」の説明や根拠を入れる
☑ 各スライドのプレ台本を聞いたとき「対象」が感じるであろう「疑問」を書き出す(台本のメモ欄に追加)
3.プレ台本の接続調整
☑ 接続時に「リマインド言葉」を入れる
☑ 各文章(セリフ)のつなぎの「接続詞」を意識する
☑ プレ台本の段階では多少しつこくても良いので「正しい表現」で作る
4.スライド資料とプレ台本のすり合わせ
☑ スライドを見ながらプレ台本を読んでみる
☑ (a)図やテキストが台本で話す順番に配置されているかチェックする
☑ (b)図やテキストがないのに台本でセリフが多いところをチェックする
☑ (c)図やテキストがあるのに台本にないものをチェックする
※(a)~(c)は一つでもあればアウト!スライドか台本を修正する。
☑ リマインド言葉が正しく機能しているかチェックする。
※項目4のすり合わせは少なくとも3回はやる。
5.台本の作成
☑ スライドを見ながら「説明」することを意識し、プレ台本を微調整する
☑ 制限時間との時間差をチェックする(この段階で削らないこと!)
☑ この段階の台本をいったん丸暗記する

 

 

◆発表練習と台本の微調整◆

0.スライドを見ながら暗記した台本を話す
☑ 制限時間との時間差をチェックする(この段階で削らないこと!)
☑ スラスラ話せるまで繰り返す
※この作業は立って動きながらやることをお勧めします。
1.台本の調整
☑ 台本のままだとしつこいところを修正する
☑ 台本のままだとわかりにくいところを修正する
☑ 台本を口語化+簡略化していく
☑ 余裕があれば1分版,3分版などの時短版台本を作る
☑ 時短版を基に制限時間に合わせた台本を作る
※時短版台本を作るとプレゼンのキーポイントを考える練習になる
2.スライドをポインターで刺しながら発表練習
☑ ポインターを「ゆっくり指す」ことを意識する
☑ ポインターで指す必要性を考える
☑ 他の人に見てもらってポインターの指し方に意見をもらう
3.スライドを見ずに発表練習
☑ スライドやポインターを想像しながら発表する
☑ これができるようになったらアニメーションを入れていく
4.外的要因を入れて発表練習
☑ 呼び鈴を鳴らしたり、途中で声を掛けてもらったりしながら話す
☑ 途中のスライドから始めても発表できるかチェックする
☑ 本番に近い配置・照明で発表できるかチェックする
※この段階で飛びやすい箇所はヒントをスライドに入れる。

 

ここまで頑張ったら、あとは本番で決めるだけです。

プレゼンテーションは、見栄えと明瞭さが非常に大切ですが、それは内容がちゃんと「ある」ことと理解できていることが大前提です。
発表資料を作りながら、勉強が足りなさそうなところはしっかり調べて準備しておきましょう!

2020年10月20日

0-3.卒業論文様式

卒業論文はWordを使って書いてもらいます。書類の様式をそろえることは、細かいことかもしれないですが、その細かいことの積み重ねがとても大きな差になるので、ぜひ、この卒業論文を機に心掛けを作ってください。様式・書式のテンプレートファイルは別途渡します。

 

◆様式◆

0.フォント・行間設定
☑ 表紙|(標準) [日]MS 明朝/游明朝 [英]Times New Roman;タイトル20pt,所属 氏名14pt;行間1行
☑ 本文|(標準) [日]MS 明朝/游明朝 [英]Times New Roman;12pt;行間20pt
☑ 各章|(見出し1) [日]MS 明朝/游明朝 [英]Times New Roman;16pt;太字;行間1.5行
☑ 各項|(見出し2) [日]MS 明朝/游明朝 [英]Times New Roman;12pt;太字;行間20pt,段落前0.5行
☑ 各項|(見出し3) [日]MS 明朝/游明朝 [英]Times New Roman;12pt;太字;行間20pt,段落前0.5行
☑ 各項|(見出し4) [日]MS 明朝/游明朝 [英]Times New Roman;12pt;太字;行間20pt,段落前0.5行
☑ 図表|(図表) [日]MS 明朝/游明朝 [英]Times New Roman;10.5pt;太字;行間20pt
☑ 余白|(レイアウト) 余白:上下左右25mm
1.細かい設定
☑ 各項の間に「1行」は不要
☑ 階層|第1章/1-1. /1-1-1. /1-1-1-1.
☑ ページ|下中央にページ番号(表紙には入れない)。下から12mm(下からのフッター位置)。
☑ 略号|最初に単語が出るときに宣言する。[例] prostaglandin D2 receptor 1 (DP1)
☑ 文章|文章を書き始める前に「全ての編集記号を表示」の設定にする。
☑ 文章|段落の頭は「1字下げ」。全角スペースで字下げしない!
☑ 文章|英数字はすべて半角!全角は使用しない。
☑ 図表説明|[参考資料]→[図表番号の挿入]で入れ、本文中の図表番号参照と[相互参照]→[番号とラベルのみ]
☑ 図表説明|図の説明は「図の下」、表の説明は「表の上」
☑ 図表説明|図と数字(1)の間に「スペース不要」。図と図の説明の間に「半角スペース×2」。表の場合も同様
☑ 図表説明|本文中の図表番号はカラー&太字;書式設定「図表参照(本文中)」
☑ 数値単位|単位と数字の間は「半角スペース」。%と℃と数字の間には「スペース不要」
☑ 数値単位|℃の°は[挿入]→[特殊記号]から「degree sign」を選択して入れる。CはそのままC
☑ 数値単位|遠心機の回転数「rpm」は使わない! rcfに換算して「×g」として記載する。
☑ 特殊文字|α,βなどのギリシャ文字は[挿入]→[特殊記号]から挿入する。
☑ 注釈関連|試薬・装置などのメーカーの記載:試薬・装置名(メーカー名, 国) ※できれば英語に統一。
☑ 参考文献|Natureの参考文献様式に準ずる。卒業論文・修士論文は「近大太郎. 令和X年度 修士論文 (20XX)」で良い。※2021年度に変更
☑ 参考文献|省略されていない雑誌名の場合は省略のドットは不要。J Biol Chemのように省略されている場合は、J. Biol. Chem.とする。※2021年度に変更
☑ 参考文献|雑誌の省略名はPubmedに準ずる。
2.アウトライン
☑ 表題
☑ 要旨|あとで追加
☑ 目次|最後に作成;改ページでページだけ確保。ページ番号は次の略号表から「1」。
☑ 略号表|略号[tabつなぎ]正式名称。正式名称は基本小文字。[例] DP1 prostaglandin D2 receptor 1
☑ 序論|序論中の図は「図X. ~~~」
☑ 実験|第1章;図は「図1-X. ~~~」
  |実験概要:実験項の冒頭に実験概要をまとめる。可能ならセクションのアウトラインを記載。
  |実験項「1-1. 試薬一覧」から始める(装置一覧も入れても良い)。ここで挙げた試薬・装置に関しては本文中でメーカー記載不要。
☑ 結果・考察|結果と考察にしても良い。修論の場合、第2~X章に分けて、それぞれの実験区分ごとに章立てするのもあり。
  |小括と総括:まとまった話ごとに「まとめ」を入れること。
☑ 参考文献
☑ 謝辞
☑ 研究業績(修士論文のみ)
2020年10月20日

1-1.基礎技術動画まとめ

案外、実験器具の使い方とか基礎的な操作ってわかってなかったりするんですよね!

今の時代は凄いですね…映像で学べるとか。各自しっかり動画を見て学んでください。

<工事中>

 

 

 
 
2020年11月01日

2-1.PCR

◆PCR反応溶液◆

100 µM Primer-f [1] 0.5 µL
100 µM Primer-r [1] 0.5 µL
200 ng/µL Template DNA [2] 0.5 µL
2.5 mM dNTP 6 µL
10×reaction buffer 5 µL
50 mM MgSO4 [3] 1 µL
1.25 Unit platium pf×DNA polymerase [4] 0.5 µL
滅菌水 [5] 36 µL
ミネラルオイル [6] 50 µL

1) dNTP、10×reaction buffer、MgSO4 [3]を解凍し、ボルテックスできちんと振る。

2) 粉末状のPrimer-f、Primer-r [1]をTE buffer [7]に溶かし、濃度を合わせる。

3) PCR用サンプリングチューブを取り出し、それに材料を入れる(ミネラルオイル以外) [4],[8]。

4) すべて入れたら、ボルテックスで三回振とうし、遠心機でスピンバックする。

5) ミネラルオイルを40~50 µL入れる [5]。すべての材料を冷蔵庫・冷凍庫に戻す。

6) PCRにかける。反応条件は、94℃/2min→(94℃/15 sec→54℃/30 sec→68℃/1 min)x25→68℃/3 min→4℃ overとする [9]。

 

 

 

 

注釈

[1] プライマーの濃度は重要!例えば、プライマーの濃度が高すぎると、非特異的産物が増えるなどのトラブルにつながる。プライマーは100~300 nmolの粉末で届くので、TE Bufferで溶解して100 pmol/µLになるように調製する。プライマーのTm値の差は2℃以下になるようにし、いずれのプライマーのTm値も50~58℃の範囲に入るように設計する。

[2] 鋳型となるDNA (Template DNA)は反応溶液中に100 ng入るようにする。この例だと200 ng/µLから0.5 µLを入れる。

[3] MgSO4の濃度は非常に重要!濃度が高すぎると、変なミューテーションが入りやすくなる。

[4] プライマー、Template DNA、pfx酵素は氷上で解凍する。特に、サンプリングチューブの酵素が入っている場所(底)は、絶対に指で持たないこと。また、1週間以上放置した場合、溶液の一部が蒸発結露して濃度が変わっている可能性がある為、使う前にスピンバックしすべての溶液を集めてから使う。酵素は使うとき出して、必要量を取ったら、何よりも優先してしまう。

[5] 反応溶液が全量で50 µLになるように滅菌水の量を調整する。

[6] ミネラルオイルは反応溶液の蒸発を抑えるために入れる。ミネラルオイルを入れる時、ミネラルオイル試薬瓶には、コンタミネーションを防ぐためチップ領域までしか入れないこと。ミネラルオイルがコンタミすると、それを使う他の人に影響する。

[7] TE buffer (10 mM TrisHCl pH8~, 1 mM EDTA)と滅菌水は研究室の他の学生と共有せず、自分のものを作る。使用時は、月1回程度オートクレーブ滅菌する。

[8] 材料は、添加量の多いものから順に入れる。すなわち、<滅水>→<dNTP>→<10×reaction buffer>→<MgSO4>→<プライマー>→<Template DNA>→(ここまではボルテックスで処理する)→<pfx酵素>。酵素を入れた際、白いモヤモヤしたものが出るので確認する。

[9] アニーリング温度の設定は、プライマーのTm値による。基本は、2つのプライマーのうち低い方のTm値に+2℃で設定する。PCRでTemplate DNAとプライマーの非特異的結合による失敗が観察された場合、温度調整が必要である。

2022年卒 Yan Xi 記

2021年01月13日

2-2.アガロース電気泳動

◆PCR反応溶液◆

1) アガロースを三角フラスコに入れて、TAE bufferを用いて溶解する[1]。

2) アガロース溶液(全部溶けてなくてOK)を電子レンジで加熱する[2]。

3) 電気泳動機器を組み立てて、アクリル板(ゴムテープでゲル溜まりを作ったもの)にアガロースゲルを流し込む[3]。

4) アガロースゲルが固まったのを確認して、電気泳動槽に移し、希釈した1×TAE bufferをなみなみと注ぐ[4]。

5) PCR産物から30 µLを取って、ローディング bufferと混ぜる[5]。それと分子量マーカー、ローディング bufferをウェルごとに入れる。

6) 90 V、50 mAの電圧をかける[6]。

7) DNAローディングbufferが、プラス端より1 cmのところに来たら泳動を終了する。

8) ゲルを取り出して、エチジウムブロマイドに15分~30分浸す[7]。

9) TBEも×10の状態で保存されており、使う前にMilli-Q水で希釈する(TAEと同じ)[8]。

10) 透析膜の準備:ビーカーにTAEを入れる。透析膜[9]を入れて、レンジで煮沸する。沸騰し始めたら取り出して、作っておいた1×TBEに浸し、30分~40分放置する[10]。

 

注釈

[1] TAE bufferは×10倍の状態で保管されるので、使う前にMilli-Q水で10倍希釈する必要がある(×10 TAEを10 mL取り、Milli-Q水で100 mLまでメスアップする)。ゲルの濃度は、100 mLのTAE bufferあたりのアガロースの重量(g)をパーセントで表す(g/100 mL)。アガロースの濃度は観察したいDNAサイズによって変える必要がある。一般的に、1~5 kbpのような大きいDNAの場合、ゲル濃度を0.7%にする。一方、300~600 bpのような小さいDNAの場合、ゲル濃度を2%にする。また、濃度検定の時は、これらの中間値(1.3%ぐらい)で測定するとよい。

[2] レンジでの加熱は、ゲルに小さな泡が出なくなるまで、沸騰させる。また、作ったゲルは、常温で1週間程度保存できるが、必ずラップなどで蓋をする(埃などの混入や水の蒸発の防止のため)。

[3] アクリル板をゴムテープでふさぐときは、下に隙間ができないように注意する。また、コームは、アクリル板の底から1 mmぐらい、奥のゴムテープから1 cmぐらいから離れたところに、平行に装着する(斜めに装着してしまうと、サンプルも斜めに流れてしまう)。また、コームは、「幅の狭い複数のウェルを開けるもの」と、「幅の広い1つのウェルを開けるもの」がある。自分が使うサンプル量に応じて適切な広さのウェルを作る。例えば、PCR後のアガロース電気泳動は、サンプルを多めに流すため、幅の広いウェルが1つのものを用いる。

[4] TAE bufferは必ずゲル全体を浸すような量を入れる。また、アクリル板と泳動槽の間に空気が残らないように、TAE bufferを入れた後、アクリル板を軽く持ち上げてまた落とす。

[5] サンプルの取り出す方法:まず、PCR処理後のサンプルからミネラルオイルを取らないように、水層だけを30 µL取る。これを新しいサンプリングチューブに移す。残った溶液をパラフィルム上に移し、油が吸着されたら、また先のサンプリングチューブに移す。サンプルとローディング bufferは基本3:1で調製する(サンプルが30 µLに対して、ローディング bufferが10 µL)。調製したサンプルを、ボルテックスで振とうし、遠心機で処理する。また、ローディング bufferは、キシレンシアノールとBPBが混ぜたものである。キシレンシアノールは分子量が小さいDNAと一緒に移動し、BPBは分子量の大きいDNAと同じ移動度を持つ。

[6] 電極はサンプルの側がマイナスである。DNAは負の電荷をするため、プラスに向いて移動する。電源入れる前に、必ずゲルの向きが正しいかをチェックする。

[7] エチジウムブロマイドは発がん性があるため、取り扱うと時は必ず手袋を着用する。また、使用する前に、エチジウムブロマイド液の底にたまっている赤いモヤモヤを混ぜる。

[8] この時、後のリンス用に1×TBE bufferを800 µLほどサンプリングチューブにとっておく。

[9] 透析膜の長さは、抽出するゲルの幅に応じる。基本入れる角型ケースの辺より少し長くする(だいたいは6 cmぐらい)。また、島本研で使う透析膜は、透析分子量が14,000 Da以下で、孔径が50 Å以下である。

[10] TAEはTBEより良い分離能を持つので、電気泳動の時はTAEを用いる。TBEは、TAEより速く分離するので、透析の時TBAを用いる。ただし、TBEは糖と複合体を形成するので、日持ちしない。

2022年卒 Yan Xi 記

2021年01月13日